南海トラフ地震はいつ起きても不思議でない時期に来ています。ですから2020年に起こるかもしれないのです。その兆候ともいえるものもありますが、まずは南海トラフ地震が前回いつ起こったかを見てみましょう。
さらに、南海トラフ地震の兆候ともいえるものについてもお話ししましょう。
目次
南海トラフ巨大地震は90年から260年で起きている
南海トラフ巨大地震は90年から260年の間隔で繰り返し発生しています。その間隔は様々ですが、過去の事例では短い場合で約90年、長い場合で約260年開いています。
前回は1944年/46年でしたので70年余りが経ちました。次回の地震が正直いつ起きるのかわかりませんが「260年間隔」のタイミングであれば、西暦2200年頃と、かなり先です。しかし、これに油断してはいけない問題があります。
前回の地震は南海トラフ地震としてはかなり「小さかった」のです。
1944年の地震 M7.9 そして1946年は M8.0でした。
ふたつの地震が同時に起きていたとしても、規模はM8.1程度です。最近で最も大きい1707年の地震(推定M8.9程度)と比べるとエネルギーは16分の1です。
つまり、前回の地震ではエネルギーを解放しきっておらず、次の地震に向かって、すでに多くのひずみエネルギーを溜めている可能性があるのです。
地震の前兆か?サクラエビ不漁
昨年末から日本各地で大きな地震が相次いでいます。12月19日に青森県で震度5弱、年が明けて千葉・茨城・沖縄・北海道で震度4の地震が発生しました。
そんななか、今後30年以内に70~80%の確率で発生し、最悪の場合、死者が32万以上に達するとされている南海トラフ巨大地震に発生の兆候が見られるといいます。
その理由として、地震学者で元国立極地研究所所長、武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏はサクラエビの歴史的不漁を指摘しています。
静岡・駿河湾でのみ水揚げされるサクラエビは2018年の春、水揚げ量が例年の半分にも満たなかったのです。
同年、静岡県の桜えび漁業組合はの秋漁を自粛したのですが、2019年の春漁・秋漁を合わせてもその効果は見られず、年間水揚げ量は174.9トンで、戦後最低を記録しました。
『駿河トラフ』の『異常』をサクラエビが感知?
「不漁の原因のひとつとして考えられるのは、湾の中の『駿河トラフ』で発生している『異常』をサクラエビが感知しているのではないかということです。
南海トラフ地震は、駿河トラフから南西に続く一連の海溝からフィリピン海プレートが西日本の下に潜り込むことで発生します。
駿河トラフで異常が起きつつあり、深海(水深200~350メートル)で生息するサクラエビに何らかの影響を及ぼしている可能性があります」(島村氏)
地震が発生する前には、震源周辺の地面や大気に微弱な音や電気、電磁波などが発生するとされています。
真っ暗な深海に生息するサクラエビも微弱な音や電気、電磁波などが発生するのを関知する能力を持っています。それらの能力は、人間が持っている機器よりもはるかに優れています。」(島村氏)
「駿河湾の宝石」とも呼ばれるサクラエビの不漁は地元経済に大きな打撃を与えていますが、「別のさらなる脅威」が刻々と迫っているのかもしれません。
※週刊ポスト2020年2月14日号のWeb掲載を参考にしました。