新型肺炎予防のためやインフルエンザ予防のために多くの人がマスクをすると思いますが、マスクを正しく装着しなければ予防効果がないだけでなく、感染を引き起こす原因にもなってしまいます。
新型肺炎にはマスクは効果がないとか言われていますが、それでも多くの人は新型肺炎だけでなくインフルエンザの対策としてもマスクを着用すると思います。特に人混みの中に入っていくときや、病院などインフルエンザなどの患者さんがいるかも知れないところへ行くときはマスクは欠かせません。
そこで、マスクの正しい使い方をご紹介しましょう。
※この記事は、AERA 2020年2月24日号Web記事を参考にしました。
目次
まずはマスクのサイズをチェックしましょう
新型肺炎の余波でマスクの在庫は年始時点で約10億枚あったのが、店頭からマスクが消えてしまいました。
マスクも増産体制に入っているので、そのうちには店頭にも並ぶとは思うのですが、2月も下旬を迎えていますが、いまだに店頭には一枚もありません。
「マスクについて効果の根拠となる論文はあまりない」と呼吸器内科の専門医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師は言われましたが、それでもマスクは感染防止に有効だと話してくれました。
「新型肺炎は飛沫・接触感染で起こると言われています。マスクの目的はまさにこの飛沫を予防することにあります。
●健常者が装着するのでなく、感染者が装着することで感染拡大予防になります。
●健常者がマスクをしても、感染者からの飛沫をある程度防御できます。
●マスクをすることによって鼻や口を触らなくなる意味も大きいのです。
マスクにより鼻や喉の潤いを保ち、ウイルスを生存しづらくもします。
大谷先生はまず、マスクのサイズが要チェックだといわれています。
「鼻と口をぴったり覆えるものを選びましょう。隙間なく装着できているか、今一度確認が必要でしょう。」
マスクのつけ外し時は耳ヒモ以外に触らないことが大切です
大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号では、検疫官も感染しましたが、マスクや手袋を着用していたのに感染したのは、着脱時にウイルスが付着した可能性も指摘されています。
だからこそ、つけ外しで触るのは耳ヒモだけにしましょう。フィルター部分は、ウイルスを止める“泥除け”のようなものなので、マスクを外す時、手で触るとウイルスが手に付着します。その手で鼻や口を触ると接触感染につながるのです。マスクをつける時も口に触れる部分は触らない。つける前に必ず手を洗うことも大事です。
これまでの研究で感染予防効果が示されているのは、マスクと十分な手洗いを組み合わせ、泡立てた石けんで30秒はしっかり洗いましょう。アルコールによる手指消毒も行えれば理想的です。
そしてマスクを使い回さないことです。
「マスクも時間が経つほどウイルスが付着します。しかし大半の人はマスクを使い回して、取り替え頻度は1日1回。2日以上使う人もいます。」
大谷先生は、マスク不足の今は同じようにはできないですが、従来は、診察日に1日平均20枚以上使っていたと言われています。
「99%カット」は、「99%予防できる」ではありません
ウイルスの粒子の大きさを比較すると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどは0.1マイクロメートルで、花粉は30マイクロメートルと大きな差があります。
家庭用マスクには、1枚のガーゼを折り畳んで縫製したガーゼマスクと、薄い不織布の中にフィルターが入っている不織布マスクがあります。
不織布のなかにも、微小粒子飛沫までを99%カットする「風邪、ウイルス飛沫、PM2.5対策用」と、花粉をカットするフィルターを採用した「花粉対策用」があります。新型肺炎対策では「風邪、ウイルス飛沫、PM2.5対策用」を選ばなければ、「花粉対策用」では微小なウイルスが通過してしまいますので気をつけましょう。
マスクに表示されている「99%カット」は、「99%予防できる」ではありません。「細菌やウイルスなどを99%カットする機能を持ったフィルター入り」という意味だと考えて下さい。
「ウイルスが通過するからマスクは不要」という見方もあります。米疾病対策センターは新型肺炎に関してはマスク使用を勧めておらず、頻繁な手洗いを推奨するのみです。米労働安全衛生研究所の規格を満たすN95マスクは高密度で密閉度も高いが、
「息苦しくて日常的に使うのには向いていない。不織布マスクで十分」(大谷医師)
まずはマスクを正しく使うことが、予防の第一歩です。(ライター・羽根田真智)